サンフランシスコ・ベイ・ブルース 


フィービ・スノウ
(★★★)

ニュー・ヨーク出身のシンガーソングライター。都会的な感覚のなかにアーシーなフィーリングを表現するその音楽は、アメリカン・ミュージックの伝統の深みを感じさせてくれる。このデビュー作も、ジャズのトッププレイヤーを大胆に起用しながら、いぶし銀のような音楽を聞かせている。ファルセットと地声がしなやかに織り合わされたヴォーカルスタイルが、すでにしっかり刻み込まれている。アコースティック・ギターで奏でられるシンプルな旋律に、ブルースやカントリーなどの南部的な要素をルーツとして覗かせながらも、都会的なメロウさを感じさせる響きを持ったサウンドである。まさにニューヨーク的な音作りであり、「素朴さ」と「洗練」が融け合わさった音に、時にやわらかく絡みつき、時に大空へ舞い上がってゆく声。独特の文体を持つ彼女の歌の内容は、徹底した“I”もしくは“You&I”のパーソナルな世界観。これこそがこのアルバムの最大の聞き所だと思います。表現のスタイルこそ違いますが、当時、同じ街で確かな存在感を持っていたキャロル・キング、ローラ・ニーロなどに影響されたと思しき内省的な詞の世界は、今も瑞々しさを少しも損なっていません。
その音楽的ルーツは幅広く、複雑に絡み合っている。冒頭ではサム・クックのカヴァーで、黒っぽさを歌い込んだり、またある曲では、本人の紡ぐアルペジオがブルージーな色彩を添えたりしている。だが、適度に乾いた音の質感から、全体的には穏やかでゆったりとした、美しい佇まいを窺わせる。
(にゃまうち)
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