『Nothing gonna change my love for you(変わらぬ想い)』Glenn Medeiros 『Nothing gonna change my love for you』
           by Glenn Medeiros (邦題:変わらぬ想い)

たまごんた 
2003.03.14 

「この曲を聴くとあの頃を思い出す」とか「あの曲は私とあの人を象徴する曲だ」というような、いわゆる「思い出の曲」は、誰の心の中にもあるものだ。そしてその「思い出」の対象が、若き日の片想いの君であったり、交際していた恋人であったりすると、一瞬で当時の切ない感情や憐憫の情がこみ上げ、なんとも懐かしく、かつ胸がキュンとなるような、初々しく甘酸っぱい思いでぼぅっとなることがある。
 例えば私の場合、高橋由美子の『友だちでいいから』を聴けば、頭の中は野球と少年ジャンプでいっぱいだったSくんを思い出すし、二−ルヤングを聴くと、体は160センチとちっちゃいのに大きな二輪車に乗っていたYくんを思い出す。ともに彼らが好きだった曲やアーティストである。
 もちろん彼の好き嫌いではなく、その時代の流行歌が思い出の曲となっている場合もあるだろう。
 ちなみに、にゃまうち氏との思い出の1枚といえば、キャロルキングの『つづれおり』である。彼はこのアルバムを「女の子に貸す最初の一枚」と当時位置付けていたそうで、なんともいやらしさを感じるが、電撃入籍を果たした私たちにとっては数少ない思い出の一枚となっている。
 さて、グレンメディロスのこの曲『Nothing gonna change my love for you』(邦題は『変わらぬ想い』)は、私の青春時代の恋愛を思い起こさせる1曲である。タイトルそのまま、身をよじりたくなるような甘い熱烈なラブソングであるこの曲は、20歳当時交際していた彼が大好きだった曲だ。彼はこの曲をそらで歌えるほど好きだった。実際の彼はどうだったかと言うと、やはり情熱的で、その日その場の燃えるような愛に基づいて行動を起こすので(つまり二股、不倫、掠奪愛と何でもござれだったわけだが)、その情熱さゆえか、狙った女性を外すことは少なかった。いや、私の知る限り、外すことはあり得なかった。客観的に見れば浮気性だとすぐにわかるはずなのだが、彼の女性の扱いのうまさは才能としか言いようがなかった。目の前の女性はたいていだまされてしまうのだ。もしかしたら、女系家族に育った男性の殆どはその素質があるのかも知れないが、私の経験だけではそれは断言できないのが残念だ。
 そんな彼の生き方とこの曲のギャップを、彼と別れた(と言うよりふられた)当時は痛いほど感じ、むしろその矛盾を憎んですらいた。「僕の愛は何があっても永遠に変わらない」と歌っておきながら、実際の彼は?
 失恋の傷も癒えた頃、鈍感な私は、やっと二つのことに気付いた。先述したとおり、彼は「その日その場の燃えるような愛」の中に生きていた。だから常に「これが最後の永遠の愛」だと彼自身は信じて疑わなかったはずだ。相手の女性にではなく、燃えるような愛に身を投じていた自分自身に夢中だったのかもしれない。それからもう一つ、それでも愛が長続きしない自分の遍歴を振り返り、彼自身が最も「永遠に続く愛」に対し激しい憧憬を抱いていたのではないかということだ。刹那的な恋愛に生きる彼は、例えピンチに追い込まれても、自分に溺れることを忘れなかった。
 人は、一生のうちに何度、身も心も焦がすような大恋愛をするのだろうか。彼の場合、すべての恋愛がそれに当たるのである。なんともうらやましいエネルギーである。
 彼と別れて7〜8年は経った。彼は今も、その日その場の激しい愛に身を焦がしているのだろうか。それとも永遠に変わらず愛せると確信した女性と一緒になって幸せに暮らしているだろうか。この曲を耳にすることは今では殆どないが、たまにふっと心の中のターンテーブルが回ることがある。私の若き日の懐かしい思い出の一曲である。
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